図書館トップ > CineTech home > 第102回紹介作品

第102回紹介作品

タイトル

『恐怖の報酬』のサスペンス
1953年、 監督 アンリ=ジョルジュ・クルーゾー 148分

紹介者

栗原好郎

作品の解説

サスペンスの極みとも言えるニトログリセリンを積んだ安全装置のないトラックの運転。 油田の火事を消すためその運転に4人の男たちが2000ドルを求めて挑む。 その一人、パリのメトロの切符を部屋に飾り大切にしているイヴ・モンタン演じるマリオ。 彼はパリからやってきたジョー(シャルル・ヴァネルが好演)とコンビを組んでトラックでの輸送を引き受ける。 悪路が続く中で、二手に分かれた先発隊のトラックが爆発。 ジョーも原油があふれる泥濘の中で事故にあい死んでしまい、マリオのみが生き残り現場に辿り着く。 先発隊の賞金も合わせた4000ドルを手にしたマリオはパリの地下鉄の切符を眺めながら、蛇行運転で陽気に山を下りるのだが、崖から転落死してしまう。 『望郷』でもジャン・ギャバン演じるペペが、パリからやってきたギャビーの魅力に負けてカスバから下りてしまい、捕まってしまう。 マリオもペペもパリへの郷愁が死を招いたとも言える。 彼らを狂わせてしまうパリの魔力とはいかなるものか。 パリが生んだ二つの悲劇。

ページの先頭へ戻る