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第137回紹介作品

タイトル

小津の無声映画

紹介者

栗原好郎

作品の解説

小津安二郎は近年ますます論じられることが多くなったわけだが、表立って主張が全面に出る映画作家ではない分、 つかみどころがなく、何とでも言える存在だ。 同じ国際的な巨匠である黒澤などとは異なり、テーマ性が薄い。 一見、「強烈な個性」とでも呼べるものはないように見える。 見えるものは描かずに、見えないものを描く、 という姿勢を取っているせいもあるが、隠された部分が多い。 サイレント映画の作法をそのままトーキーへ応用している事でも分かるように、 小津を知るには戦後の『晩春』以降だけを論じていただけではダメだろう。 むしろアメリカ映画の影響が色濃いサイレント映画へ目を向ける必要がある。 小津にとっては習作期、実験期の作品群である。 『突貫小僧』、『落第はしたけれど』、『その夜の妻』、『淑女と髯』、『東京の合唱』、『東京の女』、『母を恋はずや』、『浮草物語』、『東京の宿』など、 いずれ詳しくご紹介しよう。

    

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