図書館トップ > CineTech home > 第146回紹介作品

第146回紹介作品

タイトル

『007 ロシアより愛をこめて』
1963年、 監督 テレンス・ヤング 110分

紹介者

栗原好郎

作品の解説

映画の007シリーズは1963年の『007 ドクター・ノオ』に始まり今に至るわけだが、主役のイギリス情報部の諜報員ジェームズ・ボンドも現在は6代目である。 ただ、何と言っても6代続いているボンドの中で、最高の演技でファンを魅了し、人気ナンバーワンであるのは、初代ボンドを演じたショーン・コネリーであろう。 彼が演じたボンド・シリーズの白眉はやはり、『007 ロシアより愛をこめて』(1963年)。 ボンド・ガールには、美貌に加えて魅惑的な肢体を持ったダニエラ・ビアンキを迎えてドラマはいやが上にも盛り上がる。 しかし、一番の見せ場はラストで繰り返されるボンドとロバート・ショーとの格闘シーンだろう。背広にネクタイという紳士スタイルで格闘したボンドは、勝ってもすかさずネクタイを直すだけ。「さすが、イギリス紳士」と声がかかりそうな千両役者ぶり。 ただ、ボンド・シリーズが始まった1960年代の世界情勢と現在は違い過ぎるせいか、現在のボンド映画はどうも現実感に乏しい。 今のイギリスはアメリカやロシアの陰に隠れて国際政治にそれほどコミット出来なくなっていることを考えると、設定自体にどうも無理がある。 昔は米ソと三つ巴の戦いをするだけの戦力、資力があったイギリスだが、今はそれは古き良き時代を彷彿させるノスタルジーにすぎない。 (『007ロシアより愛をこめて』という邦題は実は1972年にリバイバル公開時のもので、1964年における日本初公開時のタイトルは『007 危機一発』だった。)

    

ページの先頭へ戻る