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第20回紹介作品

タイトル

『ウエスト・サイド物語』
1961年、監督 ロバート・ワイズ, ジェローム・ロビンス 152分

紹介者

栗原好郎

作品の解説

 ジェット団とシャーク団というアメリカ移民同士の不良グループの対立を、 シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を翻案し、現代のニューヨークのスラム街 ウエスト・サイドを舞台に展開させたミュージカル。

 ニコラス・レイの「理由なき反抗」のジェームズ・ディーンに象徴される反抗する若者像の延長としての、 イタリア系移民とプエルト・リコ系移民の若者同士の確執が描かれる。 貧しい移民たちはお互いの出自の結束を強め、果てしのないけんかへと彼らを駆り立てる。 アメリカ自体がたくさんの移民から成り立っている国であり、さまざまな人種や文化を背景に持つ 移民たちに共通する何かを作り出そうとしてきた。

 歌って踊るミュージカルが栄えたのもアメリカであり、それは大衆文化の一つとして、 みんなが気楽に楽しめるものであった。移民達にもわかりやすい大衆文化としてミュージカルがあったように、 この「ウエスト・サイド物語」も移民たちのドラマをミュージカル仕立てにすることで 二重の意味でアメリカを象徴するものとなっている。 もちろん、アメリカに代表される大衆文化の「分かりやすさ」は、時として物事を単純化してしまうことがあるので曲者だが 、歌って踊る画面に躍動する役者たちを見終わった後は、心持ち体が軽くなったような気がするのは気のせいか

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