第42回紹介作品
タイトル
「日本のいちばん長い日」
1967年、監督 岡本喜八 157分
紹介者
栗原好郎
作品の解説
三船敏郎と黒澤明
先日、岡本喜八監督の「日本のいちばん長い日」(1967年)を観ていて、 阿南陸相を演じていた三船敏郎の見事な立ち居振る舞いに感服し、さすが世界の三船だとその完璧主義に拍手を惜しまなかった。
三船と言えばやはり黒澤明とのコンビについてまず語るのが常道だろう。 戦後、「酔ひどれ天使」(1948年)に始まり、途中「生きる」(1952年)を除いて「赤ひげ」(1965年)までの 全黒澤作品に出演した三船は、監督の黒澤と絶妙のコンビを見せ、黒澤を「世界のクロサワ」へと押し上げていった。 三船自身も世界の映画祭で主演男優賞などを受賞し、その知名度も飛躍的に上昇した。 黒澤の映画には三船は欠くべからざる存在だということは誰の目にも明らかだった。
ところが「世界のクロサワ」と「世界のミフネ」は歯車が噛み合わなくなっていく。 「両雄並び立たず」というが、個性の強い二人は別々の世界を歩む事になる。 今年は、黒澤の生誕100年、三船の生誕90年の記念すべき年である。