第57回紹介作品
タイトル
『ここに、人生あり』
2008年、監督:ジュリオ・マンフレドニア、111分
紹介者
栗原好郎
作品の解説
全盛期のアメリカ映画のようなどんでん返しのハッピーエンドもなく、かと言ってフランス映画のような冷めたリアリズムもない、 イタリア映画らしいかすかな希望を抱かせる作品である。法律でイタリアの精神病院が閉鎖された時の実話に基づくおかしくも感動的な佳品。
1983年のミラノ。労組の熱血組合員のネッロは、所属していた組合から移動を命じられるが、何と移動した所が精神病院から出てきた元患者たちの協同組合だった。 毎日を無気力に過ごす元患者たちを見て、ネッロは立ち上がる。自分たちでお金を稼ぐ事の喜びと辛さを彼らが味わいながら、成長していく様を描いている。 この映画の原題のように、「やればできるさ」と背中を押され励まされる作品である