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第85回紹介作品

タイトル

ゴダールの『映画史』
1998年、 監督 ジャン=リュック・ゴダール  268分

紹介者

栗原好郎

作品の解説

1895年にフランスのリュミエール兄弟によって創始された映画は、以後百年あまりの間、大衆の夢をかきたて続けた。 19世紀が「小説の世紀」であるなら、20世紀はさしずめ「映画の世紀」と言っていいだろう。 小説より百年遅れて登場した映画は、長い間、単なる娯楽としてしか見なされず、文化的にも低い地位に甘んじてきたように思う。 しかし、今、20世紀を振り返ってみるに、映画の影響力は計り知れないものがある。 それは大衆文化のみならずさまざまな分野に及んでいる。

1998年に黒澤明が、さらに99年にはキューブリックが亡くなるといった具合に、世紀末には巨匠の訃報が続いた。 この「映画の世紀」の終焉を暗示するフランスのゴダール監督の『映画史』が上映された。

20世紀のビジュアル・テクノロジーの粋を集めたこの記念碑的な作品が、「映画の世紀」の終わりに上映されたことは何という幸運だったろうか。 ゴダールは、全8章、上映時間4時間半という、この常軌を逸した長大な作品を「映画の世紀」への餞として作ったのだろうか。 いや、それは過去へ向けたものであると同時に、映画の未来を模索したものともなっている。

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