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第89回紹介作品

タイトル

『家族の肖像』
1974年、 監督 ルキノ・ヴィスコンティ  121分

紹介者

栗原好郎

作品の解説

心電図で始まり、心電図で終わるこの作品は、孤老の教授の家族への思いとその崩壊を描いている。 教授の静かな暮らしの中へ、突然、闖入者が入ってくるが、当初は教授にとって厄介で迷惑千万な彼らも、次第に疑似家族のような関係になっていく。 ただ家族は厄介なもので、距離を置いた方がいい場合でも、内部に入り込んでしまうことも多い。 家族はそうした猥雑さを併せ持っていることで、成立している空間なのかもしれない。 バート・ランカスター演じる教授は碩学マリオ・プラーツをモデルにしているらしいが、壮大な知へと観る者を誘う。 動きの少ない室内劇だが、いや室内劇だからこそ逆に、観る者の心は動く。

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