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第99回紹介作品

タイトル

『ショーシャンクの空に』
1994年、 監督 フランク・ダラボン 142分

紹介者

栗原好郎

作品の解説

『カッコーの巣の上で』(M・フォアマン監督作品)のラストシーンの圧倒的な感動が甦るような今回の作品。 最近の世情が重苦しく、それだけに突き抜けるような何か、絶望の底に差し込む一筋の光を求めてやまないわれわれには、何物にも換えがたいプレゼントなのだ。

希望、何という美しい響きを持ったことばだろう。 無実の罪で終身刑となり、最も警備の厳しいショーシャンク州立刑務所で酷薄な生活を強いられたアンディ。 彼はこの地獄から脱出することを唯一の希望として、刑務所の内での不当な扱いにも泰然自若として耐えていく。 そのあくまでもクールなアンディをティム・ロビンスが好演している。 またアンディのむしょ仲間でよろず調達屋レッドを演じたモーガン・フリーマンの地味だが着実な演技も忘れられない。

原作はスティーヴン・キング。 キングといえば、小道具に使われたタイプライターが実に恐い『シャイニング』や『ミザリー』をすぐに連想してしまうのだが、 今回は、そうしたホラー物ではなく、観る者に希望の光を投げかける作品となっている。

小説の原題は、『刑務所のリタ・ヘイワース』。 リタ・ヘイワースといえば、往年の映画ファンにとっては、その魅惑的な肢体が印象的なわけだが、 刑務所のアンディの殺風景な独房の壁に貼られた彼女のポスターの裏に隠された謎は、いったい何なのか。 それは見てのお楽しみだ。

最初は狭い四方の壁に我慢できなかったのが、やがてそれと折り合いをつけるようになり、つぎにそれを受け入れるようになる。 さらに、体と頭と精神が、鉄道模型のような縮尺の世界に順応し、それが好きになる。 そうした施設慣れ症候群とも戦いながら、 アンディは希望の地、メキシコのシワタネホを夢見ていたのだ。 彼が友人レッドに宛てた手紙の中で次のように言っている。 「希望はいいものだ、たぶん何よりもいいものだ、そしていいものは決して死なない。」

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