小説家に野郎 Vol.5
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「いったいなんだってんだ」元谷は初めて乗るヘリで叫んだ。しかし、その声はプロペラにかき消されるのみである。どうせ、世界中の研究者崩れも集めるほど、IDOL研究が詰まってきたんだろう。いつまで経ってもアカデミックは御都合主義だ…
そこから何時間経ったかわからない。彼は寝ることができたのだ。
「着きました。降りてください。」目隠しから解放された。元谷は目を顰める。朝になっていた。しかし、そこから望む朝日は見事なものだった。周りには何もない。どうやら山の頂上近くのようである。周りは、大小様々なアンテナに囲まれていた。
「初めまして、恒星間移動偶像研究機関を取りまとめている、マイケル・トーメンです。」
今やその顔を知らない人はいない。研究者時代の元谷にとっても憧れの一人であった。
「あんたのことは知っている。なぜ、IDOLの存在を公にしたのか、理解に苦しむね。今や世界経済は大混乱、新興宗教の乱立、様々な問題が生まれてしまったじゃあないか。まあ、宇宙技術に莫大な資金が流れるようになったのはいいことだな。フリーターの俺には関係ないが」
「ことがことだ、隠してはおけまい。それにコソコソ動いて太刀打ちできるような事象ではないからね」
「コソコソと連れ去ったのによく言うよ。早く要件を教えてくれないか。フリーターにとっての無断欠勤より重要なことなんだろう」
「まあまあ、人を集めているんだ。皆君にいろいろ聞きたい。それに、君はもうフリーターじゃなくなった」
そんなことだろうと思った。おそらく、当分下山することもないのだろう…
会議室には、考えていたより人はいなかった。10人にも満たない。
マイケルがドアを進めながら話し始める。
「彼が、元谷幸一君だ。まずは、ワキイ君、説明を頼むよ。」
「はい。まず、元谷さん。この度は、申し訳ありません。ただ、我々にはこうする他なかったのです。これからこちらで生活していただきます。アルバイト先、ご家族への通達はすでに済ましています。ですので…」
話が長い。無駄な言葉が多い。大体のことは予想できる。
「その辺はもういい。なんとなくわかる。頼むから手短になんでつれてこられたのか教えてくれ。」
「”放射線駆動低温固相化学と熱サイクル誘起前生物化学進化の可能性”これは君が書いた論文で正しいかね?」
ベルグ元教授は問う。元谷は無言で頷く。
「このタイトルが、一言一句違わず、IDOLから発信されていたのだよ。」
訳がわからない。全く、想像以上だ。
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