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第123回紹介作品

タイトル

『ククーシュカ ラップランドの妖精』
2002年、 監督 アレクサンドル・ロゴシュキン 104分

紹介者

栗原好郎

作品の解説

ロシア映画だが、フィンランド語、ロシア語、サーミ語が飛び交う。 ククーシュカとはロシア語でカッコー、あるいは狙撃兵という意味である。 第二次世界大戦末期、フィンランド最北の地ラップランドではソ連とフィンランドが戦闘を繰り返していた。 フィンランド兵士であるヴェイッコは、懲罰としてナチスの武装親衛隊の制服を着せられ岩に鎖でつながれてしまう。 だが、鎖を切って脱出。 一方、ソ連軍の大尉であるイワンは粛正のため連行されていた所を友軍に誤爆されて重傷を負うが助かる。 ヴェイッコが助けを求めて、一人で暮らすサーミ人の女性アンニに助けを求める。 ヴェイッコが話すフィンランド語が理解できないアンニ、 アンニが話すサーミ語が分からないヴェイッコだが、ヴェイッコはそこでアンニに介抱されているイワンに会う。 しかし、ヴェイッコはフィンランド語、イワンはロシア語なので、さっぱり訳が分からない。 その上ヴェイッコは服装からドイツ軍兵士に間違われて、と言った具合で、てんやわんやの掛け合い漫才のような面白さがある。 最後まで誤解は解けないまま終わるが、ラップランドの大らかな風土が戦争の悲惨さをコメディにしてしまう。 三人が別々の言語を話し、ほとんど相手の言う事は理解できてないはずだが、何となく話がかみ合ったりする時もある。 言葉を超えた何かがコミュニケーションにはある事を暗示しているコメディである。

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