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第124回紹介作品

タイトル

『そして父になる』
2013年、 監督 是枝裕和 120分

紹介者

栗原好郎

作品の解説

血と時間のどちらをとるか。 「6歳になる息子は、病院で取り違えられた他人の子だった」という息子を取り違えられた二つの家族の物語だ。 ドキュメンタリーから出発した監督の是枝裕和は、家族とは何かを問いかける。 小津安二郎は血のつながった家族を描き続けたが、是枝は『誰も知らない』(2004年)でも描いたように、 血のつながらない、いわゆる疑似家族を描いてきた。 そこに一緒にいることで生まれる共に過ごした時間という極めて現代的なテーマを深く丁寧に掘り下げていく。 社会問題を扱っていても、善玉も悪玉もなく、誰かを断罪するという姿勢は見られない。 取り違えが発覚してから、「交換」の道を選ぶが…。 タイトルにある「そして」という肯定の接続詞が意味深長だ。 決してそれまでの人生を否定しない、現状をまず肯定する姿勢こそ、是枝が尊敬する小津のスタンスだった。

第66回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞  公開:2013年9月28日

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