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第90回紹介作品

タイトル

「ヴィスコンティの『ルートヴィヒ』(復元完全版)」
1972年、 監督 ルキノ・ヴィスコンティ  237分

紹介者

栗原好郎

作品の解説

晩年のヴィスコンティのドイツ3部作と呼ばれる作品群がある。 第1作は1930年代のナチス前夜の『地獄に堕ちた勇者ども』(1969年)、 第2作は第1次大戦前夜の『ベニスに死す』(1971年)と続き、第3作目が今回の『ルートヴィヒ』(1972年)。 この作品は、普墺戦争や普仏戦争を背景に、バイエルン国王ルートヴィヒと、山師的な作曲家ワーグナーや従姉のオーストリア皇后エリーザベトとの関わりを中心に、 華麗な色彩と本物の調度品の数々が画面を至上のものとしている。 ヴィスコンティの美男好みは有名だが、この作品でもヘルムート・バーガーがルートヴィヒを好演している。 エリーザベトを演じたロミー・シュナイダーは、オーストリア映画のシシー3部作で既にエリーザベトを演じており、ウィーン生まれでもあり、当たり役の感がある。 世紀末的な滅びの美学を体現したような作品。

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