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第96回紹介作品

タイトル

サスペンス映画の醍醐味

紹介者

栗原好郎

作品の解説

生涯にわたってサスペンスを作り続けたヒッチコックは、コロンビア大学における講演で、「サスペンス」と「サプライズ」との違いを「テーブルの下の爆弾」の喩えで説明している。 隠された爆弾の存在を登場人物が知らず、観客も知らないとする。 やがて爆弾が爆発する。 それはサプライズであり、アクシデントである。 一方、隠された爆弾の存在を登場人物は知らないが、観客だけが知っている場合は、サスペンスとなる。 登場人物の一挙手一投足は、爆弾が隠されているという事実によって、緊張を持って観客に注視されることになる。 瞬間的なサプライズに対して、サスペンスは持続性を持つわけで、登場人物たちが平然としていればいるほど、不穏なものとなる。 ヒッチコックの映画は、まず犯行場面を観客に見せてしまう事が多く、シャーロック・ホームズ型とは異なる。 後者がホームズの謎解きの鮮やかさに対する驚きで終わるのに対し、前者は謎に迫るまでサスペンスが持続する。 1950年代のヒッチコック作品はそうしたサスペンス映画の宝庫である。 『見知らぬ乗客』を観よ!

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