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第131回紹介作品

タイトル

映画は旅

紹介者

栗原好郎

作品の解説

映画は旅である。 観客は映画と共に旅をすることで、一時的にではあれ、日常から脱しようとする。 平板な日常から非日常の世界へと遊ぶことで、明日への希望をかきたてることもある。 だが、それもたいていの場合、長くは続かない。極端な場合は、劇場を出るや日常の世界に逆戻り、ということも結構ある。 映画はもちろん現実そのものではないが、むしろフィクションであることで現実を客観的に再構成しやすい側面を持っている。 旅は現実の旅も含めて、今いる場所を遠くから見るわけで、現実を近視眼的に見ることからわれわれを免れさせる。 映像は架空の旅をも容易に可能にする。 悲劇は人生を近視眼的に見ることから生まれると言ったチャップリンの言葉を想起したい。 チャップリンの作品は彼が画面の奥へと歩んでいく場面で終わることが多い。 あるいは、『街の灯』のように微苦笑で終わることもあるが、喜劇と悲劇は紙一重。 いずれの場合も、距離を置いて人生を見るチャップリンの姿が立ち上がってくる。

    

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