【本紹介】喜嶋先生の静かな世界

みなさんこんにちは!飯塚LSSの菅原です。

本日は、

『喜嶋先生の静かな世界』著・森 博嗣(もり ひろし)/ 講談社

を紹介します。

卒論・修論の時期を迎え、ふと思い出した一冊です。

この作品に描かれているのは、効率的な勉強方法やテクニックではなく、学問に没頭することそのものの純粋な楽しさです。「自分は何のために研究をやっているんだろう」と立ち止まってしまう瞬間がみなさんにもある(あった)かもしれません。そんなとき、この本はそっと心を支えてくれます。

余裕をなくしている方や、勉強・研究へのモチベーションを改めて整理したい方におすすめです。少しでも気になった方は、ぜひ読んでみてください。☺️

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あらすじ

文字を読むことが不得意で、勉強が大嫌いだった僕。大学4年のとき卒論のために配属された喜嶋研究室での出会いが、僕のその後の人生を大きく変えていく。寝食を忘れるほど没頭した研究、初めての恋、珠玉の喜嶋語録の数々。学問の深遠さと研究の純粋さを描いて、読む者に深く静かな感動を呼ぶ自伝的小説

講談社公式サイト. 『喜嶋先生の静かな世界』より / URL: https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000186402 

本作は、主人公が大学4年から大学院にかけて過ごした研究の日々と、恩師である喜嶋先生との時間を描いた物語です。勉強が大嫌いだった「僕」が、自らの興味を追求するなかで学問の楽しさと奥深さに目覚め、成長していく過程が丁寧に綴られています。

見どころ

私の思う見どころは、二つあります。

一つ目は、没入感です。主人公と喜嶋先生は、自らの興味に心から惚れ込み、研究を楽しんでいます。その純粋な熱意に引き込まれ、専門的な内容をすべて理解できなくても、気づけば二人の思考の渦の中に巻き込まれていました。

特に印象に残っているのは、主人公が修士論文の執筆中に疑問点を喜嶋先生に問いかける場面です。普段はすぐに答えを示してくれる先生が、そのときは数分の沈黙のあと、「わからない」と答えます。そして、そこから先生の思考が始まります。

青のインクがなくなって、途中から赤になった。その赤もインク切れになって、今度は僕が自分のサインペンで先生の代わりに書くことになった。

森博嗣『喜嶋先生の静かな世界』講談社、2010年、p.295

コンピュータ出力用紙の裏に、三色ボールペンの青インクで式を書き続けること八時間。この場面から伝わってくるのは、「わからない」ことを楽しみながら、とことん考え抜く姿勢です。やがて道筋が見えた瞬間、二人は高揚し、冗談を交わし、声を出して笑います。

このシーンでは、到底同じ地点に立てているわけではないのに、まるで当事者の一人になったかのように、その楽しさや高揚感を共有しているような気持ちになりました。

 

二つ目は、主人公と喜嶋先生の生き方です。

作品中では、二人が自分の楽しいと思うことを貫く姿が繰り返し描かれています。それは物語だからこそ、よりくっきりと際立つように表現されているのかもしれません。それでも、現実では周囲に合わせたり、研究以外のことにも目を向けたりすることが求められる中で、自分の信念を静かに守り続ける二人の姿は、どこか羨ましく、そして美しく映りました。

同じように生きることはできなくても、「こうであってもいいのかもしれない」と思わせてくれる。自分のペースで、自分の興味を大切にして生きるという在り方を、ひとつの選択肢として示してくれます。

「一人はいいけれど、独りはいやだ」という言葉を耳にすることがあります。しかし本作を読むと、“独り”であることへの恐れが、少しやわらぐように感じました。

最後に

本日は、『喜嶋先生の静かな世界』を紹介しました。

春休みに入り、「何をしようかな?」と迷っている方は、ぜひサポーターブログの本紹介記事をのぞいてみてください。気になる一冊が見つかるかもしれません...!また、皆さんのオススメの作品があれば、サポーターデスクで共有してくださると嬉しいです♪

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!素敵な春休みをお過ごしください。😊🌸

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