小説家に野郎Vol.2
物語交換日記の2回目。前回の続きです。
前回分の日記は、こちらから見てみてください!
暗い室内で、スクリーンの光だけが人々の顔を照らしていた。
大画面には、数年かけて大型望遠鏡群が積み上げてきた光度曲線解析が映っている。
NASA惑星科学部門長、マイケル・トーメン博士が指し棒で波形をなぞる。
「これは数年にわたる観測で得られた光度曲線です。表面の山や谷、強く光を反射する領域と、ほとんど光を吸い込む暗部——それらの微細な変化が、自転の周期に合わせて周期的な揺らぎを生み出しています。解析の結果、縦横比はおおむね細長い長方形に近い値を示していましたが、この段階では形状の詳細までは断定できません。」
博士のリモコン操作と共に、スライドが切り替わった。
先週、木星圏の掩蔽観測装置から送られてきたデータが現れる。恒星を背景に浮かび上がった輪郭に、会議室が静まり返った。
長く曖昧だった予感は、この瞬間、揺るぎない確信へと変わる。
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