【本紹介】口に関するアンケート/背筋
こんにちは、飯塚LSSの菅原です。
あっという間に7月も終わり、夏休みに入った学生さんも多いのではないでしょうか。
最近はジリジリと暑さが増し セミの鳴き声も響いていますね
今回は、そんな暑い夏にぴったりのモキュメンタリー作品、
を紹介します。
背筋さんの作品といえば、『近畿地方のある場所について』や『穢れた聖地巡礼について』が有名だと思います(映画『近畿地方のある場所について』は2025年8月8日に公開予定とのこと。観に行こうか悩み中です...)。
本書は全体で約60ページとコンパクトで、サクッと読める点も魅力です
本のサイズも驚きの 115mm x 85mm と、手のひらサイズでコンパクトです!(笑)。
モキュメンタリーホラーが好きな方はもちろん、ホラーはちょっと苦手だけど「怖いもの見たさ」で読んでみたい... という方にもピッタリです。
- 本のあらすじ
- 見どころ
- 最後に
本のあらすじ
口に関するアンケート
背筋(せすじ)
「近畿地方のある場所について」(KADOKAWA)で2023年にデビュー。同作が「このホラーがすごい! 2024年版」にて1位に。近著に「穢れた聖地巡礼について」(KADOKAWA)など。『口に関するアンケート』ポプラ社. 書籍の内容より引用
物語の中心には、ある 心霊スポットで亡くなった一人の女性 の存在があります。
彼女や心霊スポットに関係する複数の人物の証言が、それぞれ【201908262310.m4a】のような音声ファイル形式で記録されており、本書にはその文字起こしが掲載されています。
いくつかの証言が終わったあとに登場するのが、本作のタイトルにもなっている【口に関するアンケート】です。
読者はこのアンケートに答えることで、物語の結末へ辿り着く仕組みになっています。
見どころ
私が特に面白いと感じた点は、2つあります。
1つ目は、先ほど触れたように各話が音声ファイル形式でまとめられている点です。
たとえば、【201908262310.m4a】の話には「2019年8月26日23時10分」に語られた内容が収められており、ファイル名に含まれた時間を追うことで、語りの間隔やタイミング が見えてきます。
それにより、語りのスピードや空気感を自然と想像でき、まるで 頭の中で語りが再生されるような感覚 に陥りました。
2つ目は、結末が明確であるという点です。
モキュメンタリー作品は、読後に余韻や曖昧さが残るものが多い印象がありますが、本作は明確な結末が用意されています。
しかもその結末は、読者自身が物語の最後に登場するアンケートに答えることで明らかになる、という新しい仕掛けになっており、これまでにない読書体験だと感じました。
怪談パート自体に読み応えがある分、直後に唐突に現れるアンケートの淡々とした語り口が、逆にじわじわと不気味さを際立たせており、印象に強く残りました。
最後に
今回は、背筋さんの『口に関するアンケート』を紹介しました。
次はどの本を紹介しようかな、と考えていたときにこの本に出会い、「この季節にぜひ紹介したい!」と思い、急いでブログを書きました。
読みにくいところが多かったと思いますが、最後まで読んでいただきありがとうございました!
夏季休業前の勤務はこれで終了になります。
前期も図書館学生サポーターをご利用いただき、ありがとうございます!
後期もぜひ活用していただけると幸いです。☺️